【校長のつぶやき】特別支援教育は特別な教育ではありません(令和7年6月11日・水)
- 公開日
- 2025/06/11
- 更新日
- 2025/06/11
校長のつぶやき
本日、午後からUMECOで開催された「西湘地区特別支援教育研究会総会及び研修会」に出席しました。
足柄上・下地区の2市8町の小中学校で特別支援学級を設置している学校の校長は、皆、総会に出席です。
研修会には、校長に加え、各校の特別支援学級の担任代表1名がオンラインで出席しました。
研修会は、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所の上席総括研究員さんによる講演。
演題は「多様化する子供のニーズにこたえる学校体制や指導について」です。
冒頭、「特別支援教育は特別な教育ではありません」という話がありました。
特別支援学級・通常学級の担任ともに求められる最も大切なことは、一人一人の子供がどのようなことに興味・関心があるか、得意なことや苦手なことは何かなどを学校生活の中で把握すること。
一人一人の子供の様子を丁寧に見取り、うまくいかない子供に別の見方から考えるような声かけをしたり、課題に取り組みやすくなるような教材・教具を用意したりするなど、子供が学習するうえで悩んだり、困ったりしていることに対して、その子供に応じた取り組みを工夫されてきているのでは…このような取組こそがまさに特別支援教育であるとのことでした。
通常学級では、30人前後の児童を一斉に指導・支援することが多いため、「一人一人」ということをどこまで考えて対応できているか、難しい面もあるかもしれません。
しかし、集団を相手にしていても、一人一人、個に即した(適した)指導・支援を大切にしようという姿勢は、多くの教員が意識していることだと思います。(そう信じています。経験が浅い間は難しいかもしれませんが…。)
私は、時折、職員に「私たち教員が指導・支援していく上で『困った子』と思ってしまうその子こそ、自分が『困っているんだ』という視点でとらえ、その子自身の『困り感』をどうしたら軽減し、適した指導・支援ができるかというように考えてほしい。」という話をしています。
今日の講演を聴いて、改めて、職員にはそのような視点のもと、教育活動に当たってほしいと思っています。
講演では、さらにいくつかの事例をもとに、支援の具体例が紹介されました。
例えば、
・先生の問いかけにうまく答えられない子供に対して
・自分の感情を言葉で言い表せない子供に対して
・他の子供たちと同じ学習方法や教具の使用では思うように学習が進まず、困っている子供に対して
・急な予定の変更に対応することが難しい子供に対して
・感情をコントロールすることが苦手な子どもに対して
・よく忘れ物をしてしまう子供に対して
・話す言葉の発音が気になる子供に対して
・板書を書き写すことが苦手な子供に対して
・人前で話すことが苦手な子供に対して
…いずれも、子供のせいにしない、子供が悪いわけではない、どうすればその子たちが授業に参加できるようになるかという視点で、試行錯誤することが大切だということを改めて感じています。
支援学級と通常学級の「交流や共同学習」を本校でも実施していますが、すべての子が同じ学級で居心地よく学ぶことができるような環境づくりが大事だということも改めて教えていただきました。
子供たちが、自分と他者の「違い」を理解し、その「違い」を受け入れ、お互いの「良さ」に気付き、それぞれの強みを生かして共に助け合う態度・行動がとれるようになることを目指していくことが大事です。
(似たような話を昨日の朝会でも少し触れました)
このような学校・学級で営まれる教育活動が、「共生社会」につながるのだと思います。
本日、学んだことを、本校の学校経営にも生かしていきたいと痛感した研修会でした。
(講演会で話題になった事例と支援の具体例は、「国立特別支援教育総合研究所」の「特別支援教育リーフ」で検索すると詳細が出ています。興味のある方はご覧ください。)