【校長のつぶやき】「えっ、なんで?」から学習問題を作る授業(令和4年5月6日・金)
- 公開日
- 2022/05/06
- 更新日
- 2022/06/14
校長のつぶやき
ゴールデンウィークの合間、子供たちは「まだ休みたいな。」という思いで登校しているのかなと思いきや、意外と「学校に来るの、楽しみ。」と言っている子とたくさん出会いました。「授業はどんな感じで受けているのかな?」と思いながら、校内を回っていると、どのクラスも課題に熱心に取り組んだり、楽しそうに活動したりしている姿に出会いました。そのような中で、偶然通りかかったときに盛り上がっていたクラスがあったので、しばらく足を止めて眺めていました。
5年生の社会科の授業です。授業者が風景の写真を提示していきます。1枚目は雪が積もっている風景の写真。「何月だと思う?」の問いに、次々と手が挙がり「1月」「2月」「12月」の声。3つの月が出たところで、全員に「どれだと思う?」と問いかけ、これだと思うものに挙手します。続いて、2枚目…桜の花が咲いています。「4月」「3月」「3月の終わり」などの声。同様にどれだと思うか確認。最後に3枚目、海でマリンスポーツを楽しんでいる写真です。「8月」「6月」「7月」「9月」などの意見が聞かれました。こちらもどれだと思うか確認をしました。
「では、正解発表。まず、真ん中の桜が写っている写真は、…4月です。」「やっぱりね。」「どこの写真だかわかりますか?」「小田原城でしょ!」…さすが、地元のことはバッチリです。
「続いて、1枚目の写真は…4月です。」「えっ〜?」「雪があるのに?」
「最後の3枚目の写真は…」勘のいい子はここで気がつきます。「そういうことか、これも4月?」「そう、これも4月です。」「夏みたいなのに…」
「先生、これ、同じ場所じゃないですよね?」「○○君、いい質問だね。みんな、○○君の質問、聞こえた?それぞれ違う場所です。ちなみに、全部、日本です。」
「何か、気付いたことや疑問、ありますか?」「4月なのに、なんで雪があるの?」「夏の格好しているのになんで4月?」「ふつう4月なら、海で楽しんでいる場合ではない。」などの声が出てきました。
「では、これらをもとに、これから勉強していく課題を作ってみよう。」子供たちがいろいろな言葉を発しながら、「どうして同じ4月なのに、違って見えるのかな?」という学習問題が作られました。
教師から一方的に提示された課題を学習するといった受け身の学びではなく、子供たちの気付きや疑問をもとに、自分たちが知りたい、調べたい、解決したいことを学習問題にすることで主体的な学びにつながります。学びの意欲を高めていくことにもつながるでしょう。もちろん、子供の気付きや疑問に何でも乗っかればいいというものでもありません。授業者として、当然指導のねらいがあり、価値ある学びにつなげなければなりません。そこで、大事になってくるのは、どんな気付きや疑問が出てくるだろうかという予想をもとに教材を考え、組み立て、提示の仕方を工夫するということです。
教室の前を通りかかった瞬間に、そのような工夫の雰囲気が漂っていたので足を止めてしばらく眺めてしまいました。授業者と子供が一体となったいい学びの場面を見ることができました。「ゴールデンウィークだからといって、授業づくりに手を抜いていません。」授業者のそんな意気込みも感じられました。