【校長のつぶやき】インクルーシブ教育を推進していく中で…(令和6年5月27日・月)
- 公開日
- 2024/05/27
- 更新日
- 2024/05/27
校長のつぶやき
本日、午後から「西湘地区特別支援教育研修会総会及び研修会」に出席しました。足柄上・下地区の2市8町の小中学校で特別支援学級を設置している学校の校長は、皆、原則出席です。研修会には、各校の特別支援学級の担任代表1名がオンラインで出席しました。
研修会は、星槎大学の先生による講演。演題は「インクルーシブ教育の学校現場での推進について」です。いくつか、衝撃を受けたことがありました。自分の認識を改めたこともあります。
インクルージョン(inclusion)の原則は、「万人のための教育(Education for All)」であるということ。インクルージョンは決して障害がある子供とない子供が共に学ぶことではなく、障害の有無にかかわらず、個人のニーズに合わせた教育を目指すこと」だということでした。
認知発達の話もありましたが、その中で、これは本校の職員にも意識してほしいと思ったことを1つ紹介します。
教師が「帽子をかぶって、外に行きましょう。」と指示を出した時の話です。
子供によってはすべての指示を理解できずに、1番最後の指示だけ覚えている子がいるそうです。この場合は、「外に行きましょう。」です。
帽子をかぶらずに外へ出た子に対して、教師が「先生は、なんて言いましたか?」と注意をします。
その子は、「『外に行きましょう。』と言った。」と答えます。
すると、その教師は「『帽子をかぶって』と言ったでしょ!」と怒ります。
その子にしてみれば、先生の言ったとおりにしたのになぜ怒られるのか、不安になるという話です。
確かに、教育活動全般において、「指示は短く、一度にいくつも出さない。」とはよく言われることです。しかし、そのことを常に意識しているかどうか…。自身の日々の実践を振り返ることが必要だと思います。
もう1つ。今日の講演の話に出てきたことではありませんが、関連して、最近気になるやり取りがあるので、触れたいと思います。
教師は、子供たちに集中して話を聞いてもらおうとして、「先生は1回しか言わないから、よく聞いてね。」という言葉を結構使うことがあります。私も、担任をしている若い時に、先輩教員の真似をして使っていたことがあります。
でも、1回で聞き取れない子は必ずと言ってもいいほどいます。聞き取れなかった子が、教師に尋ねると、「先生は『1回しか言わない』って言いましたよね。」と怒るパターン。
特別支援教育のことを学ぶと、聴覚優位の子と視覚優位の子がいて、それぞれの子(個)に応じた対応が必要だということを知ります。一斉の指示が聞き取れない子に対しては、一斉の指示の後に個別に指示を出すことも必要だということも学びます。
しかも、「分からないことはそのままにしないで尋ねて。」とか「『分からないこと』を『分からない』と言えることが大切。」などと指導しているのに、尋ねてきた子を怒るとは理不尽にさえ思います。
私たちは、知らず知らずのうちに、教師の都合や教育観、自身の指導へのこだわりによって、矛盾したことを子どもたちに強いてしまい、子供たちに不安を与えているのではないか、常に省みたいと、今日の研修を終えてふと感じました。
ほかにも、いろいろと確認したいことはありますが、それはまたの機会に…。
(今日の夕方、久しぶりに虹を見たので、思わず撮影しました。)