学校日記

【校長のつぶやき】小田原空襲もあった終戦の日(令和5年8月15日・火)

公開日
2023/08/15
更新日
2023/08/16

校長のつぶやき

 台風7号は、近畿地方の方へそれていきましたが、注意しなければならない気象状況がまだまだ続く8月。皆さん、お元気にお過ごしでしょうか?

 今日は、8月15日…終戦の日です。78年前の今日、正午に玉音放送があり、日本国民に終戦が告げられました。実は、この日の夜中(日が15日に変わってから未明の間)、小田原中心部にB29による空襲があり、家屋が焼かれ、死者もありました。12時間もたたないうちに終戦が告げられたことを考えれば、早めに終戦を決めていれば防げた被害です。いくつかの工場があった小田原は、この日以外にも何回か空襲を受けています。8月5日午前11時頃、国府津駅にも空襲の被害があり、2名の女性駅員が犠牲になり、駅舎が全焼したという記録があります。

 戦争は人の命を奪うものです。被害にあった方、遺族の悲しみ…、様々な形でそれらは今も伝えられています。新聞報道での戦争特集では、戦地で人の命を奪って復員した方たちの苦悩が書かれていました。「国のため」という大義名分で戦地で功績をあげた人たちもまた、「人の命を奪う」ということへの贖罪で悩まされていたのです。さらに、戦地の異常な光景、恐ろしい体験…これらと相まってPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされている方も多いとのことです。

 「戦争」などというものは、起こさないことに越したことはないことは明白です。それなのに、なぜ起きてしまうのでしょうか?「国のため」という理由で、命が奪われることはあってはいけないことだと思います。「ONE for ALL,ALL for ONE」…「一人はみんなのために」だけではいけないということは、これまでも子どもたちにも伝えてきました。大事なのは「みんなは一人のために」になっているかどうかです。犠牲になっていい「一人」なんていません。誰かのために命を懸けるって、なんだか格好良さそうな響きですが、私はそうは思いません。
 ウルトラマンや仮面ライダーをはじめとする特撮物で幼少期に影響を受けた私の世代は、自己犠牲の精神で命を懸けてみんなのために戦うことを「格好良い」、それこそ「ヒーロー」と思い込まされがちでしたが、今は、そのようには思っていません。それらの特撮物の話の中にも、「なぜ戦うのか」「本当に戦わなければならないのか」ということに悩むヒーローの姿もありました。

 どうすれば、世の中から「戦い」「戦争」がなくなるのか、防げるのか、「抑止」ということが必要なのか。人の欲望や気持ちなどの心理学的なアプローチ、戦争の主な原因になりがちな経済、宗教、文化、環境問題、科学などからのアプローチ、人権的な問題や規制の役目をする憲法や条約などの法学的なアプローチ…いろいろな要素が絡み、簡単には解決できない問題であることはよく分かっています。スポーツや芸術が、平和に貢献する働きもあるでしょう。
 いずれ自分の得意な分野に特化されていくかもしれませんが、子供たちには、広い視野で考えられるような子(大人)になってほしいと思いますし、また、そのような教育を私たちは心がけていかなければと思っています。