学校日記

夏目漱石と「はやぶさ2」

公開日
2014/10/07
更新日
2014/10/07

校長

夏目漱石と「はやぶさ2」

三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10月7日午後2時16分、鹿児島県の種子島宇宙センターから、静止気象衛星「ひまわり8号」を搭載した国産ロケット「H2A」25号機を打ち上げました。

昨日の台風18号も日本各地に甚大な被害をもたらしましたが、「ひまわり8号」では台風の中心付近の風向きや風速をこれまでより詳しく捉えられるため、進路の予報の精度も向上すると期待されています。

日本のロケットは歴史は、戦後初の実用ロケット研究として昭和20年代末の糸川英夫博士のペンシル型ロケットに始まります。
その後、日本初の人工衛星「おおすみ」が打ち上げに成功したのは、僕が小学校を卒業する一月ほど前の1970年の建国記念の日でした。「おおすみ」は人工衛星打上げ技術の習得と衛星についての工学的試験を目的として打ち上げられ、電離層や宇宙線などについての科学実験を目的に打ち上げられたのは翌71年9月の「しんせい」でした。
77年7月には気象観測を目的に「ひまわり」が打ち上げられます。その「ひまわり」も今回で8代目と云うことになります。

今年の11月30日13時24分48秒に種子島宇宙センターから、「ひまわり8号」と同じH2Aロケット26号機で「はやぶさ2」が打ち上げられます。

JAXAのホームページでは、
 「はやぶさ2」では「はやぶさ」で培った経験を活かしながら、太陽系の起源・進化と生命の原材料物質を解明するため、C型小惑星「1999 JU3」を目指します。
 太陽系の起源や進化を知るためには、代表的なタイプであるS型、C型、D型の小惑星を調査する必要があります。
 「はやぶさ2」が目指すC型小惑星はS型小惑星のイトカワと比べるとより始原的な天体で、同じ岩石質の小惑星でありながら有機物や含水鉱物をより多く含んでいると考えられています。
 地球をつくる鉱物、海の水、生命の原材料物質は、太陽系初期には原始太陽系星雲の中で密接な関係を持っていたと考えられており、始原的な天体であるC型小惑星から採取したサンプルを分析し、太陽系空間にあった有機物や水がどのようなものであったのか、またどのように相互作用し共存してきたかを探ることで、生命の起源にも迫ることができると期待されています。

と説明しています。

科学の進歩はとどまるところを知りません。
夏目漱石は内田百間との会話の中で、「科学は進歩しているけれど心配だ」、「科学の進歩こそが私たちの不安の原因だね」といってます。それに対して百間がこたえた後、さらに漱石は「止まることを知らない科学の進歩に私たちは翻弄されるだろう」というんです。百年近くも前の文豪が、時代の先見性を持っているんです。

コンピューターやロボットが意思を持つ時代も、近い将来やってくるかもしれません。4月に小田原城銅門で行われたコンピューターとトップ棋士との将棋対決「電王戦」でも、コンピューターが勝利しましたね。2003年の未来からやってきた「アトム」の世界に、現代の科学は限りなく近づいているのです。

今週はノーベル賞の発表もありますが、科学技術は平和利用を前提に進歩していただきたいものです。