立春に寄せて
- 公開日
- 2018/02/05
- 更新日
- 2018/02/05
校長
立春に寄せて
立春とは名ばかりで、まだまだ寒い日が続きます。
インフルエンザは峠を越えたようですが、風邪で学校を休む子どももまだおります。
立春といえば「早春賦」。
春の訪れを待ちわびる人々の心情を見事に歌います。
春は名のみの 風の寒さや
谷の鶯 歌は思えど
時にあらずと 声も立てず
時にあらずと 声も立てず
氷解け去り 葦は角ぐむ
さては時ぞと 思うあやにく
今日も昨日も 雪の空
今日も昨日も 雪の空
春と聞かねば 知らでありしを
聞けば急かるる 胸の思いを
いかにせよとの この頃か
いかにせよとの この頃か
この曲は、長野県安曇野・穂高周辺の情景を綴り、1913年(大正2年)に発表された吉丸一昌作詞、中田章作曲の文部省唱歌だそうです。
100年以上も前に作られた歌なのですね。
残念ながら、最近は余り聞くことが少ないような気がします。
作詞の吉丸一昌は、明治6年(1873)に大分県臼杵(うすき)で生まれ、東京帝国大学を卒業。「尋常小学唱歌」編纂の作詞委員長として活躍します。
「早春賦」が有名ですが、「桃太郎」「かたつむり」も、吉丸一昌の作品ではないかといわれています。
作曲を担当した中田章は、「夏の思い出」「ちいさい秋みつけた」「雪の降る街を」などを作曲した中田喜直の実父です。
いずれも、僕にはなじみの深い曲です。
人は皆、古くから春の訪れを待ち焦がれておりました。
従二位家隆(じゅにいいえたか、藤原家隆)は、秋の気配を感じさせる一首で「百人一首」に歌われました。
風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける
が、春を待ちわびる、
花をのみ 待つらん人に 山里の 雪間の草の 春を見せばや
もあります。
本当に、春の到来が待ち遠しいですね。
余談ですが100年前の大正7年(1918年)2月4日、
海軍中将秋山真之(さねゆき)は小田原の「対潮閣」で亡くなっております。