「秋」（かこさとし　著　講談社　２０２１年７月発行）

　「からすのパンやさん」などでおなじみのかこさとし氏の、幻の作品が満を持して発表されました。この絵本はかこ氏の長女が彼の作品を整理中に発見し、出版の運びとなったそうですが、それまで諸事情(しょじじょう)により長らく世に出ることがなかったようです。あたたかくも力強いタッチの絵、それに添(そ)えられた戦争に対する強い言葉が印象的な絵本ですが、のどかなタイトルからは想像もできない戦争のむごさには心がえぐられるかのよう。表紙(ひょうし)には落下傘(らっかさん)が開かずに『びっちゃり地面にたたきつけられた柿の実のような死に方』をする飛行士が描かれているというのも衝撃的。構想から実に６８年、ようやく日の目を見ることができたこの作品が多くの人の目にふれることを願ってやみません。
　９月は図書室の開室ができませんが、１０月にはたくさんの本を用意してみなさんをお待ちしています。リクエストもどんどんどうぞ！！