図書室だより2019 〜その7〜
- 公開日
- 2019/08/07
- 更新日
- 2019/08/07
お知らせ
「まんが少年、空を飛ぶ
特攻隊員・山崎祐則からの手紙」
(山崎祐則 著 稲泉連 解説
偕成社)
8月に因み、今回は戦争に関する本を紹介します。
この本は漫画を描くことが大好きだった少年・山崎祐則が海軍の飛行兵に志願し、19歳で戦死するまでに家族との間で交わされた手紙やスケッチが収められています。
穏やかではなかったはずの訓練生活の中で、山崎氏の描く漫画やイラスト・手紙の数々は、周りの人々と大切な家族を大いに癒すものだったことでしょう。絶筆となった遺書は貯金通帳に「特攻隊で行きます。」と走り書きされたもので、彼の多くの筆の最後につけられていた「では、また。」という言葉が、ここにはもうありません。
これら一連の書簡と作品は2010年に山崎氏の実家から出てきたものだそうです。これほどまでに美しく、生々しく、そして心に突き刺さる手紙の存在を、そして最後まで家族を思い明るく生き抜いた一少年の存在を、今の若い世代のみならず日本中の多くの人々に知ってほしいものです。
生きていたなら山崎氏は現在、93歳。戦争がなければ、平和な生活の中でゆったりと漫画を描き続けていたかも知れません。