図書室だより〜9〜
- 公開日
- 2019/03/22
- 更新日
- 2019/03/22
お知らせ
今年度、最後の図書室だより:
学校司書さんによる本の紹介です。
「魂でもいいから、そばにいて」
(奥野修司 著 新潮社)
前回に引き続き、今回も東日本
大震災に関する本を紹介します。
この大きな震災で家族や友人を亡くされた方の中に、霊的と言える不思議
な体験をされた方が多くいたというのはメディアでも取り上げられていまし
たが、これはその時の体験談を綴った一冊です。
津波で流された祖母が微笑みながら縁側に座っていた、逃げ遅れて落命し
た叔父の携帯電話に電話をかけてみたら叔父の声が聞こえた、
「行ってきます。」と言ったまま学校から戻らなかった息子のおもちゃが
勝手に動き出した、など。
読んでいて印象的なことは、どの話も不思議ではあるものの怖くはないということ。そして、不思議な体験をしたことで生きる勇気が湧いてきたと語る方が多いこと。絶望の日々の中、亡くなった大切な人の姿や気配を実際に感じられたことで、これからの人生に立ち向かってゆく活力を得られたのでしょう。肉体がなくなってもなお、魂は人の心に生き続けているのだと思います。
少し重い本を2回続けて紹介してきましたので、次回は春らしく、明るい小説などを紹介できれば・・・と考えています。