図書室だより2022 〜その11〜
- 公開日
- 2022/12/26
- 更新日
- 2022/12/26
お知らせ
「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」
(辺見じゅん 著 文藝春秋 1992年6月発行)
旧ソ連により、終戦後にシベリアの強制収容所で抑留させられた山本旗男氏らにまつわるノンフィクション。罪もなく戦犯とされ、極寒の地で何年も重労働と飢餓を強いられた日本人たちの帰国への渇望が胸に突き刺さる一冊です。山本氏は帰国を信じながらも叶うことができませんでしたが、彼が家族に宛てて書き遺した手紙は仲間たちが手分けをして(書いたものはスパイ行為として没収されてしまうため)全て暗記をし、帰国してから遺族のもとへ届けられました。仲間たちは山本氏の死後数年もの間、手紙の内容を記憶し続け、帰国してから便箋に書き起こしたということですが、山本氏の奥様や子どもたちに対する気持ちをどうにか届けたいという尋常ではない情熱が伝わってきます。
年内最後に紹介する本としては重い内容ですが、当たり前のように平和に新しい年を迎えられると信じている私たちにとって、ある意味非常にタイムリーな作品ではないでしょうか。“希望を捨ててはいけません”という山本氏の言葉の重さを受け止めて理解することは、今の時代の私たちには到底できないのだと痛感させられます。
12月22日(木)をもちまして年内の貸し出しは終了しました。冬休み前に借りた本は、1月11日(水)〜13日(金)の間に返却をしてください。本年もたくさんの人が図書室を利用してくれ、とても充実した場となりましたことを嬉しく思います。来年も国府津中図書室をどうぞよろしくお願いいたします。