校長室だより
- 公開日
- 2016/11/16
- 更新日
- 2016/11/16
校長ブログ
小田原市内の各小学校では、子どもたちが二宮尊徳の事績等を学習することにより、郷土の先人を愛する心を育てるとともに、自己の生き方の一助とすることを願って「二宮尊徳学習事業」を行っています。
本校でも4年生が資料などを使って尊徳の生い立ちや人柄、考え方や功績などについて調べる中で、尊徳の大きな教えである「積小為大」や「至誠」、彼の考えを日常生活で実行するためのキーワードである「勤労」「分度」「推譲」について学びました。また、11月14日(月)には講師をお招きして、尊徳についてさらに詳しい話を伺いました。
私も小学生の頃、尊徳というよりも「金治郎(金次郎)さん」の話として読みました。捨ててあった稲の苗を育てることから始めて少しずつ自分の蓄えを増やしていき、没落した生家を再興させたこと、勉強好きで昼間も仕事の合間に本を読んだり、夜に読書をするために必要な油を取ろうと菜の花を栽培したりしたことなどを読み、「子どもなのにすごいな」と感心させられました。
小田原人としては恥ずかしい話ですが、私が尊徳の教えの深さや人としての魅力に惹かれたのは教壇に立ってからでした。今では、
「誠実にしてはじめて禍(わざわい)を福に変えることができる。術策は役に立たない」
「キュウリを植えればキュウリと別のものが収穫できると思うな。人は自分の植えたものを収穫するのである」
という尊徳の言葉を、私自身の戒めの言葉にしています。
さて、金治郎少年といえば薪を背負いながら本を読む姿の像が有名ですが、本校にも同様な像が建てられています。像の脇にある石碑に刻まれた碑文によると、昭和8年に「愛山会」という本校のある年度の卒業生の会の方々が、会の創立二十周年を記念して寄贈してくださったものだそうです。残念ながら昭和18年に大東亜戦争(太平洋戦争)のため供出することになり、しばらくは金治郎像がない状態が続いていたのですが、昭和28年に本校の開校八十周年を記念して、愛山会の方々が再度寄贈してくださったそうです。
卒業生の方々が本校及び本校の子どもたちを大切に思ってくださったことに感謝するとともに、彼らの心で満たされたこの像が子どもたちを毎日温かく見守っていることを考えると心強い思いがしてきます。また、先輩方のこうした思いをぜひつなげていかなくてはいけないと思いました。
ところで、本校の金治郎少年が読んでいる書物は「大学」だそうです。(3年前の4年生たちに教えてもらいました)