校長室だより
- 公開日
- 2015/09/30
- 更新日
- 2015/09/30
校長ブログ
今週、校長室前の廊下に花が飾られました。本校ではありがたいことに、地域の方が季節の移ろいに合わせて花を届けてくださいます。今回は秋の代名詞ともいうべき「コスモス」をいただきました。先週までとは違って、廊下の雰囲気が明るくなり、自然と顔もほころびます。花のよさを実感する毎日です。
さて、コスモスからは華やかなイメージは感じませんが、「秋桜」という和名にもあるように整った花の形をしていて、清楚な美しさを感じます。また、見ているとホッとする気持ちになりますが、それは厳しい夏の暑さが終わって涼しい秋に向かうことと関係があるのかもしれません。
私はこのコスモスを見るたびに思い出す物語があります。4年の国語の教科書にも載っていた今西祐行さんの「一つの花」です。4年生の担任経験があまりない私ですが、子どもたちと読むたびに胸が熱くなったことはよく覚えています。わかりやすい文章で書かれていることもあり、戦争の悲惨さが素直に心に伝わってきます。また、残された母娘が寄り添って暮らす傍らにコスモスの花が咲いている最後の場面は、「人は捨てたものではない」「明日には希望がある」と考えさせられ、印象に残ります。コスモスの花を見ると心が落ち着く思いがするのは、そのためかもしれません。
人は花を見ながら思い出も見ているのではないかと思いました。