学校での子どもたちの様子をお伝えします。

年末年始の過ごし方

年末年始の過ごし方

 先日、久しぶりに家族と買い物に出かけました。美しいイルミネーションが、師走の人々を夢見心地にさせ、街はクリスマスセールから新年の「福袋」まで、一気に盛り上がります。1年が過ぎる早さに驚くと共に、自分が子どもだった頃と年末年始の雰囲気が全く違ってきていることを実感してます。

 僕が子どもだった頃、大掃除は一家総出で行いました。12月に入ると天気のよい日に、祖父母が障子紙の張り替えを行いました。この時とばかりに障子に穴を開け、濡れタオルで桟についた残った古い障子紙を剥がすのが子どもの役割でした。子どもの役割はここまでで、刷毛で糊を塗りたくてしかがなかったことを覚えてます。畳を干したりもしてました。水道水が冷たいのでバケツに汲んだ水に指先でつまんだ雑巾を浸しただけで、雑巾洗いを済ませました。それが母親に見つかり叱られたものでした。

 暮れも押し迫ってくると、餅をつき、つきたての餅に取り粉をまぶし、のし餅や鏡餅を丸めました。もちろん、子どもの楽しみはその後に出されるきなこ餅やあんこ餅でした。また、近くには稲作農家はなかったのですが、どこから仕入れたのか稲わらで松飾りをつくりました。玄関や神棚、台所、トイレに飾りました。「一夜飾りはお正月の神様に失礼」、二十九日の飾りは「二重苦で縁起が悪い」ので、飾るのは三十日と決まっていると、祖母は毎年同じ話をしていました。
 年末の思い出には、身近な大人との関わりがいつもより多く、大人たちの華やいだ気ぜわしさを肌で感じ、お正月を迎える喜びを覚えていったのだと思います。

 「年末年始の過ごし方」は子どもの原体験ともなるものです。暮れには大掃除をし、年賀状を書く。年が明けたら新しい服や下着をおろす。お雑煮を食べる。書初めをする。お年玉を自分の通帳に自分で貯金しにいく・・・。
 風習や行事は、この国に生まれ育つ者としてのアイデンティティーの形成に大きな役割を果たします。子どもたちは年末年始の風景から我が国の文化への親しみを感じるようになり、人間形成の基礎を自然のうちに獲得し、日本人としての基盤を養っていくのです。

 しかし、時代の移ろいと共に年末年始の過ごし方もかわってきています。凧や独楽を回す子どもたちの声は遙か遠い昔のものとなりました。大人になった僕は街に流れるジングルベルやイルミネーションで季節を感じ、大掃除はしますが、我が家からは障子が消え、畳を上げることなどありません。近所のお店も元日から営業するので、餅や松飾りも含め、お正月用品はスーパーで少しだけ買い、食材はネットでも購入したりして済ませます。初荷の幟をつけたトラックも目にすることもありません。伝統文化、風習の継承を自分自身も手放してしまっている平成26年の暮れ、自責の念に駆られています。

 身勝手な言い方ですが、時代は変わっても、変わって欲しくないもの、なくしてはいけないものはいっぱいあります。特に子ども時代の原体験は大切にしたいものです。

 皆さんは、どのように年末年始を過ごすのでしょうか。

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