学校での子どもたちの様子をお伝えします。

皐月にまつわるあれこれ

皐月にまつわるあれこれ

先月4月20日、JAXAが三年後に無人探索機で日本初の月面着陸を計画しているとの報道がありました。実施されればアポロ11号から50年余り、日本もついに月面に着陸する4番目の国となります。
また、国際宇宙ステーションに長期滞在することになっている日本人宇宙飛行士の油井亀美也さんがロシアの訓練施設で行われた最終試験に合格し、今月27日、ロシアの宇宙船「ソユーズ」に乗り組んで宇宙に向かうことになったとの報道もつかのま、その後、ロケットの不具合からソユーズの打ち上げが1カ月半から2カ月ほど延期される見通しだと報じました。
「はやぶさ2」も含め、宇宙には限りない魅力を感じています。

月に人間が降り立つことなど考えもしなかった時代の人々の想像力は、強く鮮やかなものです。中国古代の伝説では、仙女の嫦蛾(じょうが)、桂男(かつらおとこ)、ヒキガエル、兎などが月に住んでいます。兎は臼で不老不死の薬をつきますが、日本では餅をついています。仙女の嫦蛾(じょうが)は、不死の薬を盗んで月に逃げ、罰として月の精である蝦蟇(がま)になったとする話です。その「蝦蟇」の古称が「顧菟(こと)」で「菟」を「兎」と誤読したことから月の兎が始まったとする説があります。
「古事記」や「日本書紀」には「月読命(つきよみのみこと)」の物語がありますし、万葉集には「月読壮士(つきよみおとこ)」をうたったうたがあります。

一昨年「かぐや姫の物語」というアニメが公開され、あらためて竹取物語の奥深さを味わいました。日本人にはなじみの深いお話です。

月の探査というと「かぐや」が記憶に新しいですね。 
この衛星を利用した月探査計画はSELENE Project(セレーネ計画)と呼ばれ、アメリカ航空宇宙局 (NASA) のアポロ計画以降、最大の月探査計画とされています。
月周回衛星「かぐや」は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2007年9月14日10時31分01秒(日本時間)に打ち上げた月探査機です。この計画の主な目的は、月の起源と進化の解明のための科学データを取得することと、月周回軌道への投入や軌道姿勢制御技術の実証を行うことでした。

「かぐや」は高度約100kmの極・円軌道を周回する主衛星と、より高い楕円軌道を周回する2機の子衛星(「おきな(リレー衛星)」・「おうな(VRAD(ブイラド)衛星))」から構成されます。「かぐや」には14種類のミッション機器が搭載され、アポロ計画以来最大規模の本格的な月の探査を行ってきました。

「おきな」は遠月点高度2400kmの楕円軌道に乗り、月の裏側の重力場計測のため地上局と主衛星との間の通信を中継しました。「おうな」は遠月点高度800kmの楕円軌道に投入され、電波を送信することで月の周りの重力場を測る役割を担いました。なお、「おきな」は2009年2月12日に月の裏側に落下し、裏側の重力場観測ミッションは完了しました。

「かぐや(主衛星)」も、2009年2月11日から低高度によりこれまで以上に詳細な月の観測運用を行い、2009年6月11日に月の表側(東経80.4度、南緯65.5度)に制御落下しました。

「月」にまつわるお話はたくさんあります。
そもそも、暦のうえでつかわれる1月、2月といった「月」は太陰暦に由来します。
月の運行をもとに制定された太陰暦では、月が地球を一周するのに要する時間、朔(さく:新月)から望(ぼう:満月)に至り、また朔に返る約29.53日を基準とする単位に「月」の名が与えられたわけですが、明治6年に新暦の太陽暦が施行された後も「月」が踏襲され今日に至っています。
しかし、睦月(むつき)、如月(きさらぎ)といった和風月名では、弥生(やよい)と師走(しわす)には月という文字が使われていません。

旧暦と新暦では月によって1〜2ヶ月ほどの時差が生じます。
新暦の5月は、旧暦では卯月(うづき)です。十二支の4番目の「卯」にあたるからという説や、「卯花月(うのはなづき)」を略したもの、「苗植月(なえうえづき)」に由来するなどの説があります。二十四節気では「立夏」「小満(しょうまん)」の頃にあたります。
また、麦が実り刈りいれの時期を迎えるので「麦秋」「麦の秋」とも呼ばれます。
「秋」という字が使われますが、「麦秋」は初夏のことです。

旧暦で5月のことを皐月(さつき)といいます。また、早月(さつき)ともいうそうです。早苗(さなえ)を植える月のことをさします。新暦に直すと6月頃のことで、二十四節気の「芒種(ぼうしゅ)」、「夏至(げし)」にあたります。
「五月晴れ」とは本来は梅雨の晴れ間をさしたのだそうですが、今では新暦5月の晴天の日をさすようになっています。

古代の日本では夜を統(す)べる月の神は「月読命(つきよみのみこと)」であり、月の異称には「月読壮士(つきよみおとこ)」があります。
月を読むというのは、月の満ち欠けによって月日を知る、つまりは暦をつかさどるということだそうです。

月を足がかりに、やがて火星への有人探査も始まるのでしょうね。
科学技術の進歩は、仙女の嫦蛾や月読命をさぞ驚かせていることでしょう。

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