校長室だよりさつまいもは子どもたちが食べやすいように一口大にカットされ、一目見てホクホク感が伝わるほどきれいな色に素揚げされていて、甘さ控えめのシロップがかかっていました。しつこい甘さはなく、さっぱりと素材のおいしさが引き出されているので、もう一杯ぐらいは食べられそうなほどでした。 ところで、もともと私はさつまいもが特に好きなわけでもなく、家でも食卓に蒸かしいもや焼きいも、スウィートポテトなどが出されても進んで手が伸びることはないのですが、なぜか大学いもには心が動かされます。 私が小学生だった頃、母方の祖母が近所に住んでいたこともあり、よく大学いもを持ってきてくれました。私の好物ということで、孫を喜ばせようと作ってくれたのでしょう。 祖母の大学いもは給食とは違い、二口か三口で食べるような結構大きめに切られていて、モグモグしながら食べました。砂糖を惜しげもなく使ったかのようなとても甘い味付けで、黒い胡麻がかかっていました。今のように甘いおやつが少ない頃だったので、ご馳走のように思ったことを覚えています。ただ冷めると厄介で、器から剥がすのが大変でした。 さすがに今では好物とは言えませんが、盛りつけられたものを見ると妙に郷愁のような思いを感じます。俗に言う「おばあちゃんの味」でしょうか。祖母の思い出を綴る「なつかしの味」を舌が覚えていることは、平凡なことだけれど大変ありがたいことだと思います。 このようなプチ幸福感に浸りながら、今度は自分の子どもたちに残す「おやじの味」を考えようかなと思いました。 |
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