校長室だより中川李枝子さんが書かれたこの『くじらぐも』は、一昨年まで使っていた国語の教科書に載っていましたので、この話の学習が始まると1年生の教室からは「天までとどけ、一、二、三」と大きな声が聞こえてきました。 私自身も担任をしたとき、教室に大きなくじらぐもを泳がせて「天までとどけ、一、二、三」、校庭で学習をしている時に白い大きな雲が出てくるとジャングルジムに登って「天までとどけ、一、二、三」、屋内運動場のマットを片付けるとその上にジャンプして「天までとどけ、一、二、三」というように、子どもたちといっしょに笑顔で大きな声をあげました。作品の世界に子どもたちと浸かるのはとても楽しい時間でした。 失敗したこともあります。1年生の教科書に岸なみさんが書かれた『たぬきの糸車』という作品もありました。破れ障子に見立てた紙を子どもたちが持ち、その穴から私が回す本物の糸車の動きに合わせて目を動かします。「キーカラカラ キーカラカラ」「キークルクル キークルクル」と私が声を出すと、にこにこしながら子どもたちの目も真剣に回ります。でも、しばらくやっていると子どもたちから「目が回ってきた」「目が痛い」などと苦情を言われてしまいました。調子に乗って私が糸車を何度も回しすぎたのか、回すスピードが速くなりすぎてしまったのか、とにかく子どもたちに謝りました。今となってはそれもなつかしい思い出です。 子どもたちといっしょに楽しく「学び」を紡いでいくことができるのは、教師にとって何物にも代えられない喜びであり宝物だなとしみじみと思いました。 |
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