学校での子どもたちの様子をお伝えします。

「時」にまつわるお話 その5

「時」にまつわるお話 その5  「朝のリレー」から「時差」

本日の「うるう秒」挿入はいかがでしたでしょうか?
コンピュター関連では、このうるう秒挿入が様々な問題を引き起こし、プログラム修正も大変なようです。

前回、協定世界時(UTC)と日本標準時(JST)について少し触れましたので、「時」にまつわるお話の最終回として、今回はUTCとJSTに関連したお話をしてみます。

谷川俊太郎さんの「朝のリレー」という詩を紹介いたします。

  カムチャツカの若者が きりんの夢を見ているとき
  メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている
  ニューヨークの少女が ほほえみながら寝がえりをうつとき
  ローマの少年は 柱頭を染める朝陽にウインクする
  この地球では いつもどこかで朝がはじまっている
  ぼくらは朝をリレーするのだ
  経度から経度へと
  そうしていわば交替で地球を守る
  眠る前のひととき耳をすますと 
  どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
  それはあなたの送った朝を 誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

この詩は、かつては中学校国語の教科書にも載ってました。
当時、この詩を使って僕は「時差」の学習をしてました。
10年ほど前になりますが、この詩はコーヒーのコマーシャルにも使われ、
テレビでよく流れていましたので、ご存じの方も多いと思います。

日本標準時(JST)は協定世界時(UTC)に対し9時間進んでいます。
これは日本が東経135°に位置するためです。
中学校の地理で時差の問題を扱います。
地球は24時間かけて1自転(角度に直すと360°回転)しますから、1時間では15°進みます。
本初子午線より東側に位置してるので9時間早いわけです。
日本が7月1日の13時のときロンドンは9時間前の午前4時、ニューヨーク(西経75°)はさらに5時間前の6月30日の23時ということになります。

太平洋上のキリバス共和国という島国は国土の中を日付変更線が通っており、極端な話し、同じ国内で東キリバスと西キリバスとでは時差が24時間ありました。
東から西へ数キロ移動するだけでクリスマスが2回できたり、今日と昨日、今日と明日を行ったり来たりできたわけです。
これではあまりに不都合だということで1995年に時差を無くしました???
日付変更線の通過区分をかえたのでした。

ロシアとアメリカ(アラスカ)の間のベーリング海峡には大ダイオミード島(ロシア領)と小ダイオミード島(アメリカ領)があります。
この二つの島の間は3.7kmで、両島の中間点を国境と日付変更線が通っていて、アメリカ領とロシア領の最も接近している場所でもあります。
そこから南では変更線は斜めに通っています。かつての東西冷戦期の象徴でもあります。

世界地図を見ていただくと判るのですが、日付変更線は東経180°の南北につらなる経線ではありません。国境や、国の事情によって便宜上定められており、複雑に入り組んでおります。

時差の問題の作問としては、
成田を7月1日18時に出発した飛行機が、9時間かけてロンドンに到着しました。到着時間は現地時間の何月何日何時でしょうか?

というような問題を作ってました。
この問題が解けた方は、
世界地図や地球儀をながめ、「朝のリレー」を確認してみてください。




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