時に関するお話 その3
「うるう秒」その1
今年の7月1日に、3年ぶりに「うるう秒」の挿入が実施されます。 日本標準時の維持・通報をおこなっている情報通信研究機構(NICT)では、前回はうるう秒の挿入にあたって、「午前8時59分60秒を見てみませんか?」とさかんにPRしていました。 一般に市販されている電波時計は常時信号を受信しているわけではありませんし、うるう秒の表示には対応しません。それでは、どうやって午前8時59分60秒を見ようと言うのでしょうか。 東京都小金井市にあるNICT本部のビルには、大型のデジタル時計が設置され、うるう秒表示に対応しています。2012年7月1日と2009年1月1日のうるう秒実施当日には、大勢の見学者が集まったそうです。前回は日曜日でしたから見ることも可能でしたが、今回は平日なので難しいですが、可能であれば「午前8時59分60秒」を見てみたいものです。 なぜ、うるう秒の挿入が必要なのか? 簡単に説明することは難しいです。 うるう年とうるう秒についての説明は大変長くなります。 まず、どうしてうるう年があるのかについて、説明してみますね。 1年は365日といいますが、4年毎に366日となる(2月29日のある年)年があります。この年を「うるう年」といいます。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。 この原因は、1年の長さ(地球が太陽の周囲を一周する時間)が1日の長さ(地球が太陽を基準にして、1回転自転する時間)で割り切れないことにあります。では、1年の本当の長さは何日なのでしょうか。 1年(太陽年)=365.2422日(太陽日) 1年の長さは、365日より少し(約5時間49分)長いようです。ですから、もし全ての年を365日とすると、約4.1年で1日、100年で24.22日分、暦が実際の季節より先行することになります。 この様に、暦と実際の季節がかけ離れてしまうことを防ぐために、うるう年を設けて調整しています。現在、用いられている太陽暦(グレゴリオ暦)では、うるう年を次のように決めています。 ア 西暦年が、4で割り切れる年は、うるう年とする 例 1966年 イ アであっても、100で割り切れる年は平年とする 例 1900年、2100年、2200年、2300年 ウ イであっても、400で割り切れる年はうるう年とする 例 1600年、2000年 身近な年としては、西暦2000年は、上記のウに当てはまりますので、うるう年となります。 グレゴリオ暦に従ってうるう年を設けると、400年間に97回のうるう年が入ります。グレゴリオ暦での400年間の日数と400太陽年の長さを比較すると、 400年の長さ グレゴリオ暦 146097日 太陽年 146096.88日 400年で0.12日(約3時間)の差が生ずるだけです。 グレゴリオ暦より、差の小さな置閏法(うるう年の入れ方)も考案されていますが、うるう年の置き方が簡単で覚えやすいことから、今でもグレゴリオ暦が広く使われております。 日本がグレゴリオ暦へ移行したのは明治6年(1873年)になってからです。それまでは太陰暦に基づいて、暦をつくっていました。いわゆる旧暦です。 この旧暦には様々なものがありまして、一般的には太陰太陽暦(天保壬寅暦)を指します。太陰太陽暦は月の満ち欠けをもとにしますので、うるう月をはじめ様々な誤差が生じてきます。 (太陰暦につきましては、自分自身がよく理解できてない上に、その説明は非常に長くなりますので、いずれまたの機会とさせていただきます。(笑)) 長くなったので、本日はここまでとします。 次回は、「うるう秒」についてお話しします。 |
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