図書室だより〜8〜 3月7日(木)
「遺体」(石井光太 著 新潮社)
まもなく3月11日。日本を一瞬で 変えてしまったあの日が今年もやって きます。 今月は2回続けて東日本大震災に 関する本を取り上げたいと思います が、今回は震災から3年後に書かれた 石井光太氏のルポタージュを紹介しま す。 安置所に次々と運び込まれる遺体の 対応に追われる医師や市職員、遺体 搬送や火葬の問題に東奔西走する消防 団員や民生委員。 誰もが時が流れるままに過ごしてきた のではなく、目を背けたくても 現状と向き合って乗り越えなければならなかった壮絶な現実が切々と、 そして淡々と綴られます。 ※ 被害を目の当たりにした東北の人々から見れば、これほどに生々しい描写でさえ、震災後の悲惨さすべてを物語るには程遠いかも知れません。私たちが知っている被災の状況はほんの一部なのだと痛感させられます。遺された人々には悲しむ余裕さえなかった、との表現がまさに心に突き刺さる一冊。ぜひ読んでください。 |
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