図書室だより2019 〜その1〜
今年度も学校司書さんによる
「本の紹介」をお届けします。 「春へつづく」 (加藤千恵 著 ポプラ社) 新学期となりました。春におすすめ したい本は沢山ありますが、今回は特 に中学生に読んでもらいたい小説を 紹介します。 この本は“卒業式の日だけ、願い事 を叶えてくれるあかずの教室の扉が開 く”という不思議な噂がある中学校を 舞台に、8人のエピソードが綴られて います。中学生だけでなく、彼らに関 わる大人が主人公となっている物語も ありますが、どれも繊細な心の描写 に、読んでいて胸がチクチクする感覚 を味わう人も多いかも知れません。 さまざまな心の悩みやもやもやを抱えながら生きている登場人物たちの姿には、春という季節がもたらす独特の気だるさが漂うようにも見えますが、少しずつ絡み合っていた物語の伏線が最後にはひとつにまとまり、爽やかさを感じられるラストとなっています。 きっと誰もが前向きになれるこの小説、物憂げなこの季節にぜひ読んで、明日からの活力にしてもらえればと思います。 加藤氏の作品はこのほか「ハッピー・アイスクリーム」「いつか終わる曲」「ラジオラジオラジオ!」など。 |
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