図書室だより〜6〜
「二番目の悪者」
(林木林 著・庄野ナホコ 絵 小さい書房) 今年に入り話題性のあるニュースが多く流れていますが、SNS等で広がってゆく情報の中には尾ひれがついているものも少なくなさそうです。 今回紹介する本の主人公は、次期国王の地位を狙う高慢な金のライオン。評判の良い銀のライオンが王になるのでは、との危機感から、金ライオンは周囲に銀ライオンの悪口や根も葉のない噂を流しはじめ、ついに・・・。 この本に人間は登場しませんが、動物だけで綴られるこの物語のラストは現代社会を風刺しているかのよう。今の世の中に一石を投じるメッセージが強く表れており、恐ろしさすら感じられます。この物語の中で一番悪いのは一目瞭然、でも金ライオンだけが悪者?銀ライオンはあれでよかったのか。周りの動物たちはどうすべきだったか。『白を黒にぬりかえるなんて、たやすいこと』な世の中、真実を探し求めようともせず、噂に流されるだけの人は要注意。 ※ 林氏の作品はこのほか 「ひだまり」(光村教育図書) 「せかいいちのいちご」(小さい書房) 「ぜったいあけちゃダメッ!」(永岡書店)など。 |
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