校長室だより

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 「田子の浦に うち出でて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ」
 「大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天橋立」
 4年生の教室に、なつかしい短歌が掲示されています。子どもたちが国語で学習している「小倉百人一首」で、毎日思わず立ち止まってしまいます。
 私は歌集として編纂されて百人一首が「歌かるた」になったものと思っていたのですが、元々は藤原定家が鎌倉幕府の御家人から山荘の襖の装飾に使う色紙を依頼されて選定したものだそうです。襖に百首の名歌が飾られている家は想像するだけですごいと思いますが、恐れ多くて襖の開け閉めに神経を使いそうです。
 正月のかるた遊びによく使われる百人一首ですが、私自身は遊んだ覚えがありません。我が家の子どもたちが中学生だった頃、学校で1月に行う「かるた取り」に備えて、冬休みに時には母親も交えて練習していました。その時に使ったかるたは今もあります。子どもたちがある時期一生懸命練習に使っていたものですが、長い間箱を開けられることもありません。子育ての思い出の品とでもいうのでしょうか、見ていると感慨深くなってきます。
 子どもたちの教科書には載っていないのですが、私の記憶に残っている歌に、
「ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」
という在原業平の歌があります。
 ところで、『ちはやふる』という競技かるたに没頭する少女を主人公とする漫画があることを恥ずかしながらつい最近知りましたが、この歌が関係していることを知って驚きました。
 「伝統」はいろいろな形でつながっていくものだと感心するとともに、時の流れに後れを取っている最近の自分に大いに反省しました。

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