図書室だより2021〜その1〜

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「52ヘルツのクジラたち」 
(町田そのこ 著 中央公論新社)

 今年度初めての本紹介は、2021年度本屋大賞の1位をとった作品。毒親のもとで辛い人生を送ってきた女性と、実母に虐待され声を失った少年との出会いにより物語が始まります。タイトルとなっている52ヘルツのクジラとは『世界で最も孤独なクジラ』と称され、一般的なクジラの周波数(10−39ヘルツ)と異なるため、その声を他のどのクジラたちにも認識してもらえないそうです。
 助けを求めても、叫んでも、誰にも届かない声。この小説の中では虐待、育児放棄、家庭内DV、トランスジェンダーなど、現代のあらゆる社会問題が提起されます。私たちの周りにも52ヘルツの声なき声を上げている人がいるのかも知れません。主人公たちの未来が、どうか明るいものでありますように。 
 その他の本年度の本屋大賞作品「お探し物は図書室まで」(青山美智子 著) 「犬がいた季節」(伊吹有喜 著)「逆ソクラテス」(伊坂幸太郎 著)も図書室にて貸出できます。この機会にぜひどうぞ。

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