図書室だより2019 〜その18〜

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「線は、僕を描く」
(砥上裕將 著  講談社)

 2020年の本屋大賞にノミネートされているこの作品は、青春小説には珍しい水墨画がテーマ。高校時代に両親を亡くした大学生・青山霜介はアルバイトをきっかけに水墨画の巨匠に見初められ、次第に水墨画の世界に魅せられていきます。

 物語の中に大きな事件は起こらないものの、主人公の抱える孤独や虚無感が水墨画を通じ生きる力へと変わってゆく感動は、静かな余韻とともに読む人の心にじわっと広がっていきます。 著者の砥上氏は若き水墨画家でもあるので、水墨画の持つ大胆さ、繊細さが美しさを伴い絶妙に表現されており、読んでいると実際に水墨画を眺めているかのような臨場感が味わえると思います。  本屋大賞の発表は4月7日。ノミネートは全部で10作品ですが、はたして大賞をとるのはどのような小説でしょうか。楽しみですね。

 今回の本紹介が今年度の最終回となります。国府津中の図書室にはホームページでは紹介しきれない魅力的な本がたくさんありますので、生徒の皆さんには今後も図書室を多いに利用し、感動の一冊に巡り合ってもらえたらと思います。

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