図書室だより2019 〜その5〜

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「せんせい。」
(重松清 著 新潮社)

これは現在上映中の「泣くな赤鬼」という映画の原作を含む短編小説集で、教科書でもおなじみの重松氏の作品です。それぞれに異なるタイプの“先生”と“生徒”の物語が描かれ、一話一話に重みがあるものの、非常に読みやすいので中学生にもおすすめです。
この中でも「にんじん」は、先生と生徒にありがちな王道の心温まる話ではなく、先生が教え子に対し生々しい感情を吐露する描写が印象的な物語。先生ならズキッと、生徒ならグサッとくる内容ではないでしょうか。生徒が人間として未熟である一方、先生も当然ながらひとりの人間であって、完璧な存在ではないのだと思わせられます。
子どもにとって先生は家族以外に最も深く関わる大人であり、間違いなく大きな影響を与えてくれる存在。そして先生も生徒から影響を受け、常に一喜一憂しながら生きているのでしょう。

重松氏の作品はこのほか「星のかけら」「卒業」「エイジ」など。


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