図書室だより 〜No,4〜

「死体が教えてくれたこと」 (上野正彦 著 河出書房新社)

 前回「どう解く?」本をご紹介した流れで、今回も道徳・哲学に関連する本をご紹介します。

 今回の本は14歳の世渡り術シリーズの中の1冊で、一瞬ドキッとしてしまうタイトルですが、監察医としてこれまでに2万体の検死解剖を行ってきた上野氏が10代に向けて書かれたものです。ほんの少しの外傷や証拠をもとに物言わぬ死者からの悲痛な声を聞き、死の真相を突き止める上野氏の観察力・洞察力は見事!死んだ人は嘘をつかない、生きている人間のほうが怖い、との記述には、思わずうなずいてしまいます。「あしたのジョー」(ちばてつや著)の有名なラストシーンを、監察医の目から真剣に解説しているのも非常に興味深いところ。
 与えられた命の大切さを切々と説く著者のひとつひとつの言葉が、この本を読む若い世代の心に響くといいな、と思います。


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