図書室だより2019 〜その3〜

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「世界のどうぶつ絵本」  
       (ソフィー・ヘン 著 藤田千枝 訳  あすなろ書店)

 間もなく遠足・修学旅行のシーズン到来。国府津中学校ではそれぞれ学年毎に京都や鎌倉・東京方面へと出かけます。1年生は上野へ行きますが、上野というとやはりパンダ!ということで、今回は表紙のパンダのインパクトに思わず目をうばわれてしまう絵本を紹介します。

 この絵本は「動物の本当の大きさが分かる絵本」と題され、ホッキョクグマの手のひらやダイオウイカの目、カンガルーの耳、ベンガルトラの口などがすべて実物大のイラストで紹介されています。表紙のパンダの顔も実物大となっているのが驚き。本当の大きさと言われると、意外と大きいものなのだなあ…と感じる人と、実際こんなに小さいの?と感じる人とで分かれるかも知れませんね。アフリカゾウの足は大きすぎて、ひづめ2つ分だけしか掲載できないとのことですが、それでも相当な大きさには思わず目を見張ってしまいます。

 なかなか珍しい絵本だと思うので、ぜひ図書室で手に取ってみてくださいね。


図書室だより2019 〜その2〜

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「なまえのないねこ」
(竹下文子 文 町田尚子 絵 小峰書店)

今回はこの春に出版された、少し切なくて温かい絵本を紹介します。
主人公は一匹ののら猫。周りの猫たちには名前があるのに、ぼくには
ない。犬にも花にも名前はあるのに、ぼくにはない。ぼくも名前が
ほしい…。でも、猫は女の子と出会い、本当にほしいものは名前では
なかったのだと気づくのです。

表紙の猫の絵は、今にも動き出しそうなほどリアル。翡翠のような緑色の瞳が印象的ですが、これは物語のラストに結び付く重要なファクターとなっています。


新学期も1ヶ月が過ぎ、まだまだ友人ができないと悩んでいる人は、相手の名前を呼ぶことから始めてみてはいかがでしょう。きっと、親しくなれますよ。

 ※ 竹下氏の絵本はこのほか「せんろはつづく」「ねえ だっこして」(共に金の星社)、町田氏は「さくらいろのりゅう」(アリス館)「ネコヅメのよる」(WAVE出版)などで楽しむことができます。

図書室だより2019 〜その1〜

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今年度も学校司書さんによる
  「本の紹介」をお届けします。

「春へつづく」
   (加藤千恵 著 ポプラ社)

 新学期となりました。春におすすめ
したい本は沢山ありますが、今回は特
に中学生に読んでもらいたい小説を
紹介します。

 この本は“卒業式の日だけ、願い事
を叶えてくれるあかずの教室の扉が開
く”という不思議な噂がある中学校を
舞台に、8人のエピソードが綴られて
います。中学生だけでなく、彼らに関
わる大人が主人公となっている物語も
ありますが、どれも繊細な心の描写
に、読んでいて胸がチクチクする感覚
を味わう人も多いかも知れません。
 さまざまな心の悩みやもやもやを抱えながら生きている登場人物たちの姿には、春という季節がもたらす独特の気だるさが漂うようにも見えますが、少しずつ絡み合っていた物語の伏線が最後にはひとつにまとまり、爽やかさを感じられるラストとなっています。 

 きっと誰もが前向きになれるこの小説、物憂げなこの季節にぜひ読んで、明日からの活力にしてもらえればと思います。

加藤氏の作品はこのほか「ハッピー・アイスクリーム」「いつか終わる曲」「ラジオラジオラジオ!」など。

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